なまはげシラノ
EXPO APOFES 2nd
進藤則夫 コメント
2015年に秋田在住の俳優山崎栄にあてて書いたのが「なまはげシラノ」でした。加速度を上げて消えていく秋田弁の行く末を慮り何とかできないものかという仲間が集まり、そこから出出てきた企画です。カバンひとつ携えてひょいと出かけていって、そこで秋田弁で語るひとり芝居を作ろうというものでした。
早速同志の4人の其々にひとり芝居を作りました。舞踏家のバイブルと称される「病める舞姫」(土方巽著)を下敷きにして、土方の少年期を土方家の犬の目線から描いた「巽の犬」。後三年の役の時代、妖怪むじなの口車に乗り百姓から武士に成り上がったその結果の絶望を描いた「化げむじな」。アルコール依存症の郷土史研究家古町教授の講演が飲酒により音を立てて崩れていく様を描いた「歌う秋田県人」がある。
なまはげシラノ」はその内の1本になり、山崎からバトンを受け取り自分で演じるようになったのは2017年からでした。この作品には自分が秋田で聞いてきた声や表情が含まれています。
東京暮らしを始めても薄まることのなかった母親カヨの訛り、従姉千春の若く透き通っていた高音、応援して下さっていたアイホーム秋田本多劇場渡邉社長の男鹿方言の迫力、幼い頃に聞いていた父盛たちにあございましたよる酒宴の喧騒、親友佐藤正和の相槌と一緒に漏れ出るくぐもった音、諸々が溶け込み発酵を続けてきています。そうして何とも言えない味を醸し出す作品になってきていると思います。
進藤則夫
秋田出身。俳優 演出 劇作 。帰ってきたゑびす主宰。銀色天井秋田代表。
代表作 に「石の鳴るからだ」「人喰い先生」「雨がやんだら」「ほととぎす兄弟」等。
秋田弁ひとり芝居「なまはげシラノ」を自らの出演で公演展開。NODA MAP カムカムミニキーナ 惑星ピスタチオ 等に出演。
シアターグリーン賞受賞
関西野外演劇連絡協議会制作賞受賞
王子小劇場年間最優秀助演男優賞受賞
ハイスクールミーティング賞・ぽんプラザホール賞受賞
「なまはげシラノ」APOFES2019スタッフ賞受賞 INDEPENDENT 大阪 上田 名古屋招聘公演
2022年「なまはげシラノ インターナショナル」 関戸哲也 脚本 寺十吾 演出
2023年「なまはげシラノ~ほろげば~」進藤則夫 脚本 西田シャトナー演出